「大丈夫よ」は大丈夫じゃない!?

春は狂犬病の予防接種、フィラリア予防の開始、健康診断など、元気で日頃病院に来ることのない子たちが、注射や採血などをしなくてはならない季節です。年に1~2回病院に来て、毎回嫌なことをされれば、病院を嫌いになるのは残念ながら当たり前です。私は動物が好きでこの仕事をしていますが、悲しいことに、病院を怖がり怯える動物たちを無理やり押さえつけ、敵とみなされることもしばしばです…涙

 

病院での経験を少しでも恐怖記憶にしないために、病院スタッフは美味しい物をあげるくらいのことしかできませんが、小さな努力を続けています♪笑

 

そんな日々の診療の中で、気になっていることがあります。

 

愛犬が不安そうな様子を見た飼い主さんが、犬に「○○ちゃん、大丈夫よ」と声を掛けるのをとてもよく聞きますが、この飼い主さんの「大丈夫」を聞いて落ちつく犬はまずいません。おそらく、さらに不安になっている子のほうが多いと思います。

 

なぜなら、ほとんどの飼い主さんはご自身と犬が不安な状況の時にだけ「大丈夫よ」と犬に声をかけます。すると、犬は「大丈夫」という言葉と不安を結びつけて覚えます。つまり、「『大丈夫』は危険だ」と覚えてしまうのです。ですから、ほとんどの犬たちは飼い主さんの「大丈夫よ」という言葉に落ちつくどころかますます不安になってしまうのです。

 

ご自宅でとてもリラックスしている状況で「大丈夫よ」と声を掛け続ければ、「『大丈夫』は安全」と覚えて、飼い主さんの「大丈夫よ」が良い合図となって、犬は落ちつくことができるかもしれません。

 

私はそれよりも、「マテ」と犬が知っている合図を出してあげて、注射や採血の間しっかり待てたら、「おりこう♪」と誉めてとびきり美味しいごほうびをあげるのが一番良い方法だと思います。私たち病院スタッフも美味しいおやつを使って、頑張ったね!を犬たちに伝えてあげるようにしていますが、やはり犬にとっては飼い主さんの気持ちと言葉がとても大きな力を持ちます。どんな状況でも飼い主さんの「マテ」で待つことができるようにトレーニングをしておくことは、犬たちが不安にならないためにもとても大切なことだと思います。